toggle
2021-01-25

渡辺淳子著「もじゃもじゃ」ビタミンな一冊〜ランチのパン〜

 
戸倉明美は28歳を迎え、結婚を真剣に考えている。今まで見た目重視で相手を探してきた事が仇となり、結婚までの道のりはほど遠い。ある日、市の広報誌に掲載されていた結婚相談所「かいつぶりの会」の記事が目に止まる。かいつぶりの会とは、5年前からスタートした市が運営する無料結婚相手の紹介サービス事業である。ちなみに「かいつぶり」とは、一夫一婦制で、夫婦で雛を育てる仲の良い鳥のことである。
 
 明美はかいつぶりの会に登録することを決める。プロフィール、写真などを提出すると自分に見合った異性を紹介してくれることになった。初めての顔合わせの日、明美の目の前に現れたのは、24歳の田中浩二であった。浩二はクリーニング店に勤める小太りの男性。名前は普通だが、何と言っても見た目が個性的なもじゃもじゃ頭であった。明美は今まで付き合ってきた男性との違いに「もっと他に良い人がいるかもしれない」と尻込みし、浩二との付き合いを悩むのであった。同じく浩二もかいつぶりの会で、過去に苦い出会いを経験しており、相手を選ぶのに慎重になっていたのであった。そんな二人の関係がどうなるのかとページをめくる度にヤキモキしてしまう。
 
 自分の結婚を振り返ると、とても複雑な思いが頭の中をよぎる。以前、家内から僕の印象があまり良くなかったと聞いた覚えがある。なのに家内は何故僕との結婚を決めたのだろうか。正直理解するのが難しい、それ以上に理由を聞くのはもっと難しくて恥ずかしい。結婚して25年ほどが経過しましたが、お互いがあまり無理をしすぎないことが大切だと感じています。格好をつけすぎると自分も疲れ、相手も疲れさせてしまう事がある。そしてもう一つは家族への感謝の気持ちを忘れないことではないでしょうか。小さなあたり前を当たり前と感じることなく、ありがとうの言葉を伝えることです。楽しいはずの生活が、もじゃもじゃではなく、心がもやもやになる事だけは、絶対に避けなけれならないと思います。
 
関連記事