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2018-03-18

365日 杉窪章匡 著 「365日」の考えるパン 熟成する一冊~料理仕立てのパン~

2016年9月のある朝。365日のカウンターに座り、クロッカンショコラに手を伸ばしていた。楕円形のブリオッシュ生地にたっぷりと積み上げられたパールクラッカン。これでもかと「大人可愛い」をアピールしてくるパンである。クシュと弾けるような音感から、口どけの良いガナッシュが登場。何かに誘導されるように、只々噛み進めていく時間。咀嚼を深めながら、ふと厨房に目を凝らした。一瞬、心の中に不思議な感覚が芽生えた。「このパンが生み出される発想はどこからくるのか」という疑問符であった。今日まで心の奥に秘めていた365日の謎が一気に解明された一冊であった。

「365日」のモノづくりのコンセプトのひとつである「いい素材選び」。365日では国産の小麦にかかわらず、良い食材を使用するのが基本的な考え方である。野菜や果物も体に安心なものを使用する。「素材を生かす」ことがモノづくりのスタンスだと語る杉窪氏。言葉の一つひとつに脈々と流れている人と人のつながり。素材の向こう側に生産者。そしてパンを食べる人々がいる。その橋渡しを365日が担っていると感じる。365日の無限に広がる進化は、人と人が織りなす「食の方程式」で築き上げられているように思う。

また、本書では365日の名物パンが紹介されている。是非とも解説書としてパンを味わいながら、おいしさを紐解いていくという楽しみ方をおすすめしたい。また、自宅でパン作りをする方には嬉しいコンテンツが用意されている。手ごねでつくる365日のパンレシピである。ここでも常識にとらわれないパン作りが家庭でも手軽に味わえる。

今日もパンと向き合い、人々と向き合う365日。これからもすべてのパンに秘められた「おいしさの謎」を解明するために多くの人々が365日に通うのであろう。まさにそのヒントを獲得したい人たちに贈りたい絶品の一冊である。

 

世界文化社 ホームページ 

http://www.sekaibunka.com/book/exec/cs/17336.html

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