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2018-01-09

~映画 「74歳のペリカンはパンを売る。」~

大阪・十三にあるシアターセブン。

「74歳のペリカンはパンを売る。」が静かに幕を開けた。

スクリーンには、下町情緒あふれる浅草の街並が映し出されている。カラーなのに何故かモノクロのような印象を受ける。まさにタイムスリップするような感覚である。

創業74年のペリカンの店先に、ひっきりなしに訪れる人々。買い求めるのは、食パンとロールパン。ペリカンはこの2種類のパン作りに全精力を注ぐ。日々、工場では食パンが丸められケースに入り、ロールパンが手際よく成型されていく。パンを愛する人たちにはたまらないシーンではないだろうか。美しい指先からしなやかに離れていくパン生地。心ごと釘づけになり、ずっと見つめていたくなる。そして、同時に心の中をよぎったのは、変わらない事、変えられない事への不安はないのか、であった。

多くのパン屋さんの店頭に並ぶのは食事パン、菓子パンなどバラエティ豊富なパンたち。目にも美味しいと感じるパンも多い。その中であえて2種類のパンに絞ったパン作り。ペリカンの集中と選択を極めたモノ作りへの絶対的な自信がスクリーンを通して感じ取ることが出来る。また2種類のパンのみで「毎日食べても飽きのこない味」を実現していること、そして職人たちの同じパンを作り続けることへのゆるぎない信念。季節や湿度、天候によって顔を変える「生き物であるパン」を普段通りに提供することの大切さ。この2種類のパンが「普通ではない」ことが理解できる。ペリカンの「おいしいだけのパンではなく、売れるパン」への探求心には驚きと感動がある。

今、何故ペリカンなのか。「時代の変化共に新しいものが古くなり、最終的にペリカンのパン、ブランドが新しくなった」という言葉にヒントがあったように思う。普遍的なモノづくりを継承するペリカンの素晴らしさである。個人的にはペリカンの徹底した「選択と集中」を知ることで、逆にバラエティ豊富なラインアップを提供するパン屋さんの素晴らしさも再認識することが出来た。両者とも「お客様にとって良いものを提供する姿勢」は共通している。良い物の「価値観」は違えども、両者が存在するからこそ、お互いの良さが際立つのではないだろうかと感じている。

照卵されていない素朴なロールパンをゆっくりと噛みしめながら。

パンヲカタル 浅香正和

映画「74歳のペリカンはパンを売る。」

公式サイトhttp://pelican-movie.tokyo/

キャスト 渡辺多夫、渡辺陸、名木広行、伊藤まさこ、保住光男、中村ノルム

スタッフ企画・製作・撮影:石原弘之

監督・編集・撮影:内田俊太郎

シアターセブンHP http://www.theater-seven.com/2017/movie_pelican.html

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