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2016-05-07

西加奈子著「きいろいゾウ」 カラフルな一冊~スイーツなパン~

西加奈子著「きいろいゾウ」

背中に鳥のタトゥーのある「ムコさん」という名の小説家の夫。
そして「ツマ」という名の妻が田舎に移り住む。
ムコは、小説家でありながら、特別養護老人ホーム「しらかば園」に勤めている。

近所の住人も個性的な面々が顔をそろえる。
朝五の5時に畑に出て、作物を育てるがうまく育てられない「荒地さん」ことアレチさん。
駒井さんの孫である美少年の星野大地。
彼は登校拒否の9歳の小学生である。
そして、大地に恋心を抱く洋子。

穏やかで、ゆるやかな時間が、心地よい言葉とリズムの掛け合いを日記形式で綴られていく。
そんなありふれた日常に存在するしあわせの中に見え隠れする消し去れないツマの幼少時代のせつない物語。
怯えるツマの心を癒す「きいろいゾウ」は幻想なのか。

胸の奥に突き刺さった大切なひとを喪った悪夢に思い悩むムコ。
互いを想う愛の深さ故に起こる捻れた感情が、二人を孤独にしてしまう。
二人の心を縛る過去をひもとき、夫婦の愛はさらに大きく、そして深まっていく。
二人を支える住人たちの人間味にあふれた愛すべき人柄が、町ごとしあわせに導いていく。

2015.11.22読了

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