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2016-05-07

森沢明夫著「青森ドロップキッカーズ」 ビタミンな一冊~ランチのパン~

森沢明夫著「青森ドロップキッカーズ」

青森市立中学に通う男子中学生の苗場宏海。
9月最後の朝、重たい気持ちで登校すると、あるはずの上履きがない。
宏海は教室を飛び出し、トイレに駆け込む。
上履きはたっぷりと水の入ったバケツに浮かんでいた。
放課後、土砂降りの雨の中、傘も差さずに自宅へと向かう。
宏海は持ってきやはずの傘までもが無くなっていたのであった。

宏海をいじめるグループの中に、幼馴染の工藤雄大がいた。
元幼馴染の前でいじめを受ける屈辱は宏海にとって受け入れがたいものであった。
いつから人生の歯車が狂ったのか。
そんな宏海がいつも回想するのは祖母の思い出であった。
記憶を深く掘り下げ、楽しかったあの日へと逃げ込もうとしていたのである。

そんなある日、ふと耳をすませばラジオのパーソナリティの声が聞こえてくる。
宏海は思い切って、自分の悩みを投稿してみるのであった。
それは、悩み、優しかった祖母の思い出を綴ったものであった。
二人のパーソナリティの励ましの言葉と音楽を送られた宏海は思わず涙をこぼしたのであった。

あくる日学校で配られた「カーリング体験・受講者募集」のチラシを目にした宏海。
宏海はカーリング体験を担当することになった沢井柚香と妹の陽香と宏海と出会うことになる。
姉妹は、協会の計画で日本トップレベルの選手たちと新チームを結成することになる。
元チームメイトとの決別による揉め事、そして新しいチームメイトとの確執。
プレッシャーに負け、信頼感を得られないまま新チームは解散を迎えることとなる。

そして、本格的にカーリングにのめり込んだ宏海にも事件が起こる。
公園でトレーニングをしているといじめを行っているクラスメイト達と遭遇する。
幼馴染の雄大を巻き込んだ乱闘が始まる。
大乱闘をきっかけに、再びつながる宏海と雄大の友情の熱量には感動せずにいられない。
二人の友情はカーリング精神のもつ高貴で、強固な力で結びつくのであった。
チームを失った柚香と陽香。友情を取り戻した宏海と雄大は、「青森ドロップキッカーズ」を結成することになる。
そして、四人は青森市民カーリング大会に挑む。
スポーツ施設のアイステクニシャンを担当する岡島新平、バツイチの大森桃子が声援を送る。

四葉のクローバーのように結束した友情とチーム力とカーリングの独特な臨場感。
そして、四人の運命の一投に込められた想いを感じてほしい。

2015.07.09読了

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