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2016-05-07

森沢明夫著「夏美のホタル」 スタートする一冊~朝食のパン~

森沢明夫著「夏美のホタル」

大学生の相羽慎吾は写真家志望の大学生である。
卒業制作のため、彼女の河合夏美と旅に出る。
夏美の愛車のバイクに乗り、房総半島の山道を抜ける。

ふと、立ち寄った場所。
それは、山奥にひっそりと存在する小さな集落にある「たけ屋」であった。
ノスタルジックな昔見たような風景であり、慎吾にとって心が躍るような雰囲気を醸し出していた。
慎吾は心の赴くままにシャッターを切った。
そこには、「ふるさと」のような風景が描かれていたからである。

「たけ屋」を切り盛りするのは、地蔵のような福井恵三 年齢は62歳と福井ヤス 84歳の二人。
心温まるもてなしに心を開いた慎吾と夏美は、再訪の約束を交わす。
そして、神秘的で幻想的な風景とホタルが放つ非日常的な空間と出会うのであった。
慎吾は心の赴くままにワンシーンを切り取るようにシャッターを押した。

風を感じ、緑の匂いを体いっぱいに受け止めるような色鮮やかな日。
地元住民とのふれあい。
そんな中で、恵三とヤスの好意により、たけ屋の母屋での暮らしがはじまるのであった。
そして、恵三の隠された過去を知ることになる慎吾と夏美。

この作品は、人生とは出会いで、劇的に変化するものだと教えてくれる。
ありふれた日常のなかにある出会いや大切な人への「感謝の気持ち」を伝えられているのだろうか。
作品を通して心の中に、切なくて、あたたかくもある「凛」という音色が流れていた。
そして、読み終えた瞬間、好きな人と手を繋ぎたくなるほどの優しい感情が芽生えたのであった。

2015.04.29読了

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