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2016-05-07

三浦しをん著 「格闘する者に○」 熟成する一冊~料理仕立てのパン~

三浦しをん著 「格闘する者に○」

将来の夢を描き始めたのはいつだろうか。
小学生の頃、「夢を見る自由」は無限大に広がっていたように思える。

可南子の家庭環境は複雑である。
ほとんど家に帰らない政治家の父、心の溝が埋まらない義母、そして自由人の高校生の弟の旅人という家族構成。
可南子は就職を控えた女子大生である。

そんな可南子の大学の友人といえば、どことなく訳あり感を醸し出す男友達の二木、そして、華やかな容姿で魅力を振りまく砂子。
まったくもって呑気すぎる3人組みを結成している。
可南子を筆頭に、この3人は「職業としての夢」というものを持ち合わせていない。
可南子は「漫画が好き」=「編集者に就職する」という簡単で単純明快な図式を描き、就職活動を始めるがそんなに上手くいくはずはない。
彼女たちは目の前に立ちはだかる難解で厄介な就職活動の前に打ちのめされるのであった。

そんな可南子には、心を癒すのは西園寺という歳の離れた書道家の存在があった。
複雑な環境に育ち、父の愛情に飢えた可南子にとって、西園寺の大らかな存在は惹かれるに値するには十分であった。

そして、突然の父の帰宅で勃発した世襲問題。
跡継ぎは可南子になるのか、それとも旅人になるのか。
親戚一同を巻き込む大会議が開催される騒ぎになってしまう。
可南子は、就職活動と世襲問題の真ん中で押し潰されそうになる。
そんな中で発生する弟の旅人の家出。
それまで親密にしていた友人の二木の家に入り浸っていた旅人だったが突如音信不通になってしまう。
旅人に何が起こったのか。
可南子たちは無事に就職できるのであろうか。

日々格闘する登場人物の生きざまに、思わず笑顔で○を与えたくなる一冊。
三浦しをん小説デヴュー作。

2016.02.16読了

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