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2016-05-07

三浦しをん著「船を編む」 カラフルな一冊~スイーツなパン~

三浦しをん著「船を編む」

「言葉」とは誰かを守り、誰かを傷つけたりするものでもある。
直線的な言葉はひとを動揺させる事もあるが、時には共感と感動という事態を引き起こす。
「舟を編む」は、辞典「大渡海」の編纂を通して、個性的な面々の想いがひとつに編み込まれ、大量の熱を帯びながら、心がつながっていくストーリー。
言葉が「大渡海」という舟に乗り、海を渡り、人の心に届くまでが描かれている。

情熱の全てをささげ、「辞書を作りたい」と願う荒木は定年を間近に迎える。
後任探しに頭を悩ませる中、冴えない営業部員の「馬締光也」と出会う。
しかし、馬締はそれまでとは打って変わり、言葉に対するすさまじい執着心と驚異的な集中力を開花させていく。
そして、下宿先の美しい孫娘の香具矢と馬締のもどかしくも純情すぎる恋物語。

読み終えた後、不思議な感覚が頭をよぎった。
辞書をめくり、日常どこにでもある「恋愛」「男」「女」という言葉の意味さえ、いちいち探索してみたくなる感覚。
自分の発する言葉を手繰り寄せてみたくなる感覚が芽生えた。

また、言葉は送る側と送られる側で受け止め方が異なる。
自分の言葉に薄氷の上を渡るような心細さを感じる時、きっとそれは自信の無さと熱量不足であると確信できる。
自分の発する言葉にどれだけの想いがあるのか。
そして、どれだけの熱量が込められているのが重要だと気付かされる。

「伝わる」には、想いがあり、共感が生まれるからこそ、聞き手の行動も変わる。
それが言葉と想いが重なることによる力だと感じる。
「伝わる力」が自分自身の課題だと気付かせてくれた一冊である。

2015.09.23読了

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