世界パン
南北にストレートに伸びる通称「けやき通り」を中に入ると、万博開幕と同じ1970年創業の「世界のパン」がある。
2015年で創業45周年を迎えた。
地元の人々と共に歩んできた堺市の名店である。
昔からのファンも多く、何代にもわたり通う常連客は多い。
まず気になるのは屋号の「世界」という文字ではなかろうか。
いったい「世界」が意味するものとは何か。
答えはこうである。
「世界のどんな料理にも合うパン」を目指して名づけられたという。
私の心に浮かんだのは「堺市にある世界のパン」というキャッチコピー。
パンを通した思いが、世界に広がるという壮大なキーワードが、屋号に込められている。
世界パンのこだわりは素材選びにあると思う。
コンセプトは「健康を考えて作ります」である。
厳選された北海道産の世界パン専用小麦。
天然酵母のパンはじっくりと68時間をかけて作られている。
兵庫県赤穂の甘塩、鹿児島県産の洗双糖でパン作りを行う。
世界パンのラインアップは、フランスパンやドイツパン、もちろん日本のパンとバラエティ豊かである。
「コーヒーあんぱん」「クラハムメロンパン」などの面白いパンもある。
本格的なバゲットはもちろん素晴らしい。
だが少し違う角度から攻め込んでくる「原木バゲット」というパンがある。
名前だけでなく、見た目からたくましさのある「原木バゲット」のインパクトは大きい。
表層はまさに「原木」のようである。
ハードな硬さをイメージして、軽く握ってみると、驚くほどソフトである。
見た目とのギャップの裏切り行為が楽しいパンである。
クラストはしっかりとしているが、ひと噛みいれると「きゅっ」を歯の先にソフトな食感があらわれる。
もちっとしたクラムは空気感と旨味を含んだ優しい風味である。
「うねぼれデニッシュ」は小ぶりなスクエアー成型の特徴的ないうパン。
何層にも重ねられた生地はパン好きのマニアックな心に刺激を与える。
何層にも重ねられた生地を剥がしながら食べたくなる衝動に駆られるのである。
クラストは甘味のあるサクパリっとした食感である。
クラムはソフトで甘味が何層にも重ねられている。
「うぬぼれ」ても良いほど人気のあるパンである。
「キューティ」はデニッシュ食パンに近く、クラストは香ばしくサクい。
クラムは甘くて、軽い食感が裂けるようにほどけていく。
食べ始めるとどこまでも食べ進めてしまいそうになる。
そして、ランチメニューにぴったりのカレーとナンのセットが登場している。
スパイシーなカレーとナンのもちもち食感は食べ応えがあり、満足度の高いセットメニューである。
世界パンに行くといつも「学び」がある。
それはスタッフの声掛けである。
季節感、新製品、おいしい食べ方等の提案がある。
スタッフのおすすめの「おいしいパンの提案」に思わず手が伸びてしまう。
まさに店内がパンを通じたコミュニケーションの場となる瞬間である。
それがまた楽しみの一つでもある。
休日にはイートインスペースの利用はいかがだろうか。
窓越しに見る街行く人々を眺めながらのパンとコーヒーは、あたたかさとほっこりが心にしみる至福の時となる。
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世界パン
〒590-0026
堺市堺区向陵西町1-9-13
TEL 072-221-9061
営業時間:10:00~19:00
定休日:木曜日
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